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古代から伝わる健康食品・そば [限定・季節の食材]

そばは、ご存知のように蕎麦という植物の種子から得られる澱粉を使った食品
ですが、稲、麦、アワ、ヒエ、キビなど、穀物の大部分がイネ科に属するのに
対して、蕎麦だけはタデ科という別の分類に属する植物で、日本の食文化史の
中ではちょっと系統の違う食材と言えるものです。

soba_flower.jpg

多くの穀物と比べて成長が早く、また冷涼で他の穀物が育ち難い痩せた土壌の
地域でも育成できるので、旧ソ連諸国などにおいても積極的に栽培されていて
食糧難の地域の人類が生き残ることが出来た理由の一つになるほど強い植生の
植物でもあります。(世界の生産量の約80%は、旧ソ連のエリア)


日本では北海道、東北地方、長野県<=信州そば>が主要な産地として認識が
あるかと思いますが、量の多少や粉の品質にこだわらなければ、沖縄を除いた
日本全国で栽培されている農産物ですので特に内陸の地域で特産品として産地
の名前が付いたそばが販売されています。

zarusoba.jpg

そばには、米や他の麺素材と比較しても1.5倍~3倍程度とされるたんぱく質や
カルシウム、ナイアシンなどを含んでいて雑穀類の中では最もバランスの良い
健康素材だとされていますが、アレルギーのある人には強いアレルギー反応が
出て喉が腫れて器官が詰まるため窒息死する事故も起きていますから、誰にも
健康食品であるわけではありません。

成分的には必須アミノ酸のトリプトファン、リジンの他、アスパラギン酸など
の栄養素も含まれているため、アレルギーがなければ特に体力が不足しがちな
夏場の時期に冷たく冷やしたそばを食べるのは、食欲増進と体力維持の面でも
有効なので、江戸時代の人は体験的な知恵として夏でも食べやすい、ざるそば
を考え出したのでしょう。

栽培したそばを食べる習慣が始まったのは弥生時代という説があり、寒冷地で
栄養のない荒れた土地でも栽培が出来る特性に気付いた弥生人はとても優秀な
農業研究家だったようですが、さすがにそば切り(粉を水で練って打ったもの
を細く切った現在のそばの形)は開発されず、水で練ったそば粉を形を整えて
茹でたそばがきの状態で食べていたようです。

sobagaki.jpg

後、そばの栄養素として重要なルチンという成分があって毛細血管を強くして
動脈硬化を防ぐと共に血圧を降下させて心臓発作、脳血管障害、糖尿病などの
いわゆる生活習慣病を予防する効果があるので、年齢が上がってきて健康診断
の指摘事項が増えてきた人はそばを食べると良いでしょう。

日本では収穫されたそばの大部分がそば粉に加工されて、麺のそばとして利用
されていますが、種子を加熱して殻を取り除き、乾燥させたものは「そば米」
と呼ばれて白米同様に主食として利用することができます。
とはいうものの現状の日本でそば米を常用している知識は知りません。

旧ソ連地域でもそばは大量に収獲されていますが、こちらは旧ソ連エリアでの
国民酒とも言えるウォッカを作る原料として利用されているので、日本に輸入
されることはありません。(ウオッカの原料不足になり一大事です)

vodka-in-glass.jpg

比較的安く入手できる夏向きの食品として、特にかつてない暑さと予想される
今年の夏の主食としてそばが活用されることになりそうな気がします。


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