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春に旬を迎える魚の話-3 [限定・季節の食材]

前回の記事でメバルを「春告魚」と書きましたが、元々「春告魚」と呼ばれて
いたのは北海道で大量に漁獲されたニシンを指した言葉でした。

nishin_goten.jpg

北海道の日本海側にニシン御殿と呼ばれる船元の豪邸が続々と建てられていた
一昔前のソーラン節全盛期の時代から一転して、乱獲によって極端な衰退期に
入った北海道のニシン漁は、ごく小規模なものとなってしまったために細々と
春を告げられても仕方ありませんからね、目がぱっちりして愛嬌のあるメバル
が春告魚の名前を引き継ぐことになってしまいました。


学校の授業などを含め、ほとんどの方が一度は聞いたことがあるソーラン節は
ニシンを捕る漁師の人たちが、景気付けに歌っていた郷土民謡で、現在は無形
民族文化財として伝承される対象となっているのは御存じの通りです。



早春の時期には卵巣(数の子)が完熟して脂ものり一番美味しくなりますから
北海道の近海で漁獲されたものは鮮魚として取引されていて、冷蔵技術の発達
や漁獲した当日中にエアカーゴで輸送されるために刺身でも食べられる状態が
保たれるのに対して、おせち料理で重用される身欠きにしんはカナダ、ロシア
ノルウェーなどの海外からの輸入品を加工して作られています。

イワシに近い仲間のため鮮度落ちが早く寄生虫のアニサキスがいることが多い
ので生食することはありませんでしたが、グルメ番組の影響で魚は刺身が一番
という新しい常識も普通になったので刺身でも食べるようになりました。

ノルウェーやデンマークなどの北欧では、生のニシンをピクルスなどと一緒に
食べたり、中には生のままパン挟んでサンドイッチにする場合もありますから
し、特に大好きな人は三枚におろしたニシンをそのまま食べる場合もあるので
生食の習慣は日本よりも古いように思います。

日本では卵巣はもちろん数の子に加工され、残った身の部分は寒風の中一ヶ月
以上も干し固めて身欠きにしんとして利用されます。

kazunoko.jpg
数の子は太平洋産が生食用、大西洋産は卵の水分が多く加工用になります。

身欠きにしんの調理法として最も有名なのは甘辛く煮た身欠きにしんを温かい
そばの上に載せた京都のニシンそばですが、好き嫌いはありますね。

ニシンの話はこれぐらいにして次はシラウオの話です。
吸い物の椀種や、天ぷら、酢の物で使われる白いきれいな魚がシラウオです。

女性の細い指を見立ててシラウオのような指ということがありますが、実際に
実物を見ないとなかなか実感はわきませんよね。

福岡(博多)や大分、有明海沿岸部などで春の踊り食いとして用いられている
シロウオと混同されることが多々ありますが。シロウオはハゼ科の海水魚で、
シラウオはサケの仲間に属しますから全く違う種類です。

shirauo.jpg
シラウオ

shirouo.jpg
シロウオ

日本国内産のシラウオは九州での生息数自体が激減しているため、全国で流通
する商品としては販売することが出来ません。(そんなに捕れないから。)

スーパーなどで売られているものは大部分が中国からの輸入品ですが、生食用
ではないことを悪用して、少々鮮度の落ちたものを漂白して使っているという
話もありますから信用の出来る店で買うようにしましょう。

魚自体からハイター(塩素漂白剤)の匂いがすることはありえないので、もし
トレイパックから出した時に塩素臭いものは漂白しています。


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