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パラサイト 半地下の家族 [シネマクラブ]

釜山の旅行記に書いたように、この映画は日本で公開の前に日本航空の機内で
MAGIC(日本航空の機内エンタテイメントシステム)で観ました。



映画館の大きなスクリーンではありませんが、家族全員が定職がなく半地下に
住んで「働けど暮らしが楽にならない」生活を続ける人たちが、丘の上の豪邸
に住むIT企業の経営者の家族の中に入り込み、予想を大きく超える結末へと
一気に駆け抜けるストーリーは充分に私を引き付ける内容でした。


ネタバレ禁止という予告編があるように、映画の中盤以降の内容を事前に知る
ことは、この映画を観ようと思っている人にとっては浦島太郎が予め玉手箱の
中身を知っているようなもので、ドキドキハラハラの急展開をリアルタイムに
感じられなくなってしまうことになるので、絶対に避けるべきだと思います。



ということで映画の後半の内容だけでなく、本編についてはあまり書かないと
いう前提で映画を観た感想を書くというのも難しいものですが、映画全体の中
で効果的に使われている描写は「雨」そして「水」だと感じました。

半地下に住む家族にとっての雨は、住居そのものを失う存在であるのに対して
丘の上に住む家族にとっては冒険ゴッコを楽しむ娯楽を盛り上げる要素の一つ
に過ぎないということになり、一つの自然現象である豪雨でさえ貧富の格差に
よって生死を分ける不条理が描かれていると私は理解しました。

そしてもう一つ重要な要素は「臭い」です。
あの人から漂ってくる切り干し大根のような臭い、人間的には嫌いではないが
あの臭いは嫌だとはっきり否定される臭い。

その臭いが映画の画面の中から感じられてしまうセットと演技が、この映画に
感情移入できる大きな要素になっているような気がします。
そしてその演技をしたソン・ガンホの演技力は韓国の名優の呼称が間違いない
ことを証明するレベルになっています。
一つの映画の中で気楽な人、感情のない人、狂気の人を使い分けられる俳優は
そんなにはいないと思います。

ソン・ガンホは「シュリ」で初めて映画を観て、その後会社員がプロレスラー
を目指す「反則王」、ポン・ジュノ監督の「グエムル-漢江の怪物-」なども
観ていますが、もしも「パラサイト」で初めてソン・ガンホを知ったのならば
「タクシー運転手 約束は海を越えて」を是非、観ていただきたいです。

DVDでも出ていると思いますが、U-NEXTでも配信されています。
実話をもとに描かれた韓国を独裁政権から救ったタクシー運転手の話です。

映画の内容を書ければ、もっと書きたいことはいろいろあるんですが、今後は
アカデミー賞の発表もありますから、まだネタバレには早いですね。

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JUNKO

面白そうですね。興味津々の映画です。でもちょっと怖そう。
by JUNKO (2020-01-20 14:47) 

suzuran

JUNKOさん:
コメントありがとうございます。

そうですね、階段を登ったり降りたりする度に人間の一番見せたくない
部分が表に出てくることを表現している映画だと私は感じます。

優越感がなくても人を卑屈にさせてしまう、悪気はなくてももっとも
言ってはいけないことを口にしてしまう人間の怖さが最悪の結果を
生み出す、そんな誰にも起こりうる怖さもあると思います。

by suzuran (2020-01-20 23:53) 

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