牡蠣が美味しい季節になりました [限定・季節の食材]
フライ、鍋物など、和・洋・中の各種の調理法で利用できます。
一般の売り場では大部分が剥き身のものなんですが、ちょっとだけ贅沢気分を
味わいたいという場合には、貝殻(セル牡蠣とも言います)が付いたのものを
買い求め、レモンをしぼると見た目も豪華なオードブルになりますね。
飽食の時代と言われる世の中ですが、何故か食材の話をする時には栄養的には
どんな利点があるのでしょうか?なんて話になるのが妙な感じだなと感じます
が、牡蠣の場合は大きな特徴としてグリコーゲンが豊富に含まれています。
グリコーゲンというのは、あの一粒300メートルの「グリコ」の語源であり
エネルギーの塊とも言えるブドウ糖の集合体(多糖類)のことで筋肉や肝臓内
に蓄えられて、必要な時に素早くブドウ糖になって栄養分の不足を補うという
効果があります。(糖尿病の場合はどうなるんでしょうね)
寒い時期は、体温の低下を防ぐために想像以上のエネルギーを消費しますから
体内にグリコーゲンを多く含む牡蠣は、絶好のエネルギー源として有意義だと
いうことを昔の人は体験的に知っていて活用していたようです。
さらに、鉄分を多く含むほか、吸収性の良い有機銅も一緒に含んでいますので
貧血の改善に効果がある食材でもあり、不足すると味覚障害の原因にもなると
言われている亜鉛やコレステロールや血圧低下作用を持つタウリンも多く寒さ
で体調を崩しがちな冬の栄養源として非常に優れた食品であると言えます。
亜鉛は精子・精液の栄養源で、タウリンは各種の栄養ドリンクの主成分なので
性欲が減退している男性にも効果があるということになっています。
牡蠣の日本の二大産地は宮城県の気仙沼、松島湾と広島県の広島湾で、国内産
の過半数がこの二つの産地で養殖されています。
その他の産地としては北海道厚岸や岩手県の三陸エリア、三重県志摩の的矢湾
有明海のものが知られていますが、産地に近い消費地や特別なルートで入手を
する以外では、あまり見かけることはありません。
養殖自体は広島湾が発祥の地で、約300年程の歴史があるとされていますが
大正時代の養殖方法の改良によって、全国の内湾で養殖されるようになり最近
は、美味しい牡蠣を養殖するために、海に注ぎ込む川の上流にブナの木を植林
するという事業もはじめられるようになってきています。
ブナの木と牡蠣との関係なんですが、実は山の森と川や海の生き物は実は密接
な関係があるということが20年ほど前から言われています。
牡蠣は内湾のあまり水の循環しない場所を好むため水質汚濁の影響をもっとも
顕著に受ける生き物といえます。
そこで内湾に流入する河川の水質を浄化し、自然の微生物を増やすことで牡蠣
の餌が確保されると共に、消費者が安心して買うことの出来る牡蠣を自然の力
を借りて安全に育成することが出来ます。
そこで、上流の土壌を守り、大雨でも河川~内湾の汚濁を小規模に抑えること
が出来るように、広葉樹(ブナ)の森を育成することが色々な面で有効である
ということが、宮城県の牡蠣養殖業者の方々によって実証され全国的な展開が
始まっています。
海外からの輸入としてはアメリカのシアトル産とか、韓国産のものが少しだけ
主に加工用として輸入されていますがメインは国内産です。
牡蠣は食あたりの原因とされることもありますが、それについては真因を追求
すると、牡蠣自体の鮮度が悪いとか、取り扱い方法が悪いとかの問題ではなく
牡蠣を育成する海域に何らかの問題があるという場合が大半で、それがために
鮮度が良いから生食が可能、鮮度が悪いから加熱しないと危険という分け方は
適切ではないのが、牡蠣の調理方法を決める際の難しさになっています。
綺麗な花には棘がある、美味しい牡蠣にはノロウィルスというわけではなくて
加熱さえしっかりとすれば菌は死にますから、調理方法と産地情報をしっかり
と把握して今の時期の旬の味覚を味わってください。
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