中国緑茶(龍井茶) [限定・季節の食材]
商品が発売され、新しい味の飲料として広い時間帯でコマーシャルも放映
されていましたが、中国茶=烏龍茶というイメージを変えることは出来ず
いつの間にか市場から淘汰されてしまいました。
サントリーが烏龍茶の導入に成功したこともあり、中国茶=烏龍茶という
イメージが強く浸透していて、市販のペットボトルや缶入りの中国茶なら
烏龍茶かジャスミン茶、プーアル茶程度の種類で十分という感覚が消費者
の方にもあったと思います。
他に中国茶と言えば各種の漢方薬をブレンドしたものやダイエットティー
などの健康面での効能を大きく前面に押し出した物が別枠的な存在として
ありましたが、そのほとんどは高級茶として、主に通信販売や訪問販売で
売られていたものでした。
緑茶と言えば日本のお茶の大半がそうですから、わざわざ中国産の緑茶を
飲む必要もないという意見もありましたから、売れなかったのも当然かも
知れませんが、日本のお茶にはない特徴を持った種類のものもあるので、
中国の緑茶を試してみるのも良いと思います。
日本の緑茶の大部分は、揉捻(茶葉を揉んで成分を表に滲み出させて発酵
を促進させる)という工程を経ているために、葉が縮れていることが多く
見た目だけでは、あまり違いが感じられませんが、中国茶の場合は揉捻に
充分に時間をかけているものもあれば、ほとんど揉まないで、原料の葉が
そのまま乾燥したように見えるものもあり、見た目だけでも茶葉の違いが
たくさんあることがわかります。
このような緑茶の中には、烏龍茶の鉄観音(台湾)や凍頂烏龍茶のように
ブランド力を持ったものも当然あって、以前に中国緑茶として発売された
緑茶の主原料は龍井茶という有名なブランドのお茶でした。
龍井茶は、ひと昔前に流行した歌の中でも歌われていた、西湖のほとりの
浙江省杭州を産地とする銘茶の一つで、唐の時代には朝廷に献上するため
数万人規模の茶摘みをする人が働いていたとか、清の時代の猛女としても
知られている、西太后だけのために育てられていたと言われるお茶の木が
今の時代になっても枯れることなく、大切に育てられています。
烏龍茶やプーアル茶と比べると発酵臭が無く飲みやすい茶葉ですが日本の
お茶の製法(ほうじ茶や番茶)に慣れた人には少々物足りない感じだった
こともあって、あまり売れないまま消えてしまいました。
ちなみに龍井茶は飲むだけでなく食材としても重要でエビと一緒に龍井茶
の茶葉を炒めた龍井蝦仁(ロンティン・ハーヤン)という料理は、新茶を
味わう春の時期の料理として知られています。
龍井茶などの緑茶は日本では主流とはなっていないので、量販店などでは
手に入りにくい場合もありますが、横浜や神戸の中華街にある店なら簡単
に手に入れることが出来ますし、私のようにローカルに住む人の場合には
インターネット通販という手段もありますので興味がありましたら、一度
少量を購入して試してみて下さい。
上手く抽出すれば市販のペットボトルの緑茶よりも甘味があって美味しい
お茶を飲むことが出来ます。
中国製と聞くだけで身体に悪いとかいう人がいますが、放射性物質で明らかに
汚染されているエリアの作物を食べて応援と言っている方が余程罪深いことと
思っているので、中国産に対する抵抗はあまりありません。
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