なぜ?今になって・いずみ鯛 [限定・季節の食材]
ネガティブな意味合いで話題になっています。
元々、ティラピアの原産国はアフリカで、イオンで販売されている刺身も
正式な名前はナイルティラピアと書かれているためにアフリカから外来魚
を輸入して刺身にして販売していると勘違いしている人もいるようですが
パッケージにASCと書いてあるように、養殖されたティラピアを冷凍で
輸入して解凍したものを刺身にして販売しているものです。
日本では20年ぐらい前に輸入されて水温さえ高ければ水質や塩分などの
環境には順応性が高い上に、成長するのに必要な餌の量が少なくて済むと
いう養殖に最適な特性を持っていることから温泉地(温泉が川に流れ込む
ために水温が高い)や発電所やゴミ焼却施設など、温排水が常時出ている
施設の廃物利用として養殖が進められ、タイに似た外観と刺身にした時の
身色などからイズミ鯛と名付けられ、温泉地の一部では名物として販売を
強化しようとしたことがありました。
が、間近で見たらタイには似ていませんし(スズキの仲間ですから元から
似ているはずがないです)刺身にしても脂のない魚なので、タイの味には
ほど遠く、身自体に味がないので当然、温泉地の名物料理として活用する
手段もなく養殖は廃れて、飼育されていたティラピアは放流されました。
元々が温排水の出るところなので野生化したティラピアが全国の温泉地や
工業地帯の河川などで生き続けていて、いつしか誰かの手によって沖縄の
河川にも放流されて、沖縄でも野生化しています。
早い話が養殖して一儲けのはずが失敗した魚種なのに、何故また販売開始
するんだろう?という話なんですが、20年前と比べて確実に悪くなった
のが水産物の水揚げで、世界人口の増加に比例して食料不足はより深刻に
なり魚を食べなかった地域の人が魚を食べるようになって、資源の枯渇が
速いペースで進んでいるということがあります。
天然魚を必要なだけ漁獲していたら、食用に適した魚はこれから何十年も
経つまでもなく絶滅してしまうという状況になっているために地球環境に
負担をかけない養殖魚への転換を進めるということなのでしょう。
イオンで売られているティラピアには、先にも書いたようにASC認証の
シールが貼られていますから、ASC(Aquaculture Stewardship Council:
水産養殖管理協議会)が、水質や生態系への影響を与えないように環境に
配慮して育てられた養殖魚と認定しているので、このシールが貼ってある
魚を購入する限りは対象となる養殖魚は安定して供給されるわけです。
なんて理由でティラピアが復活したみたいですが、口先では地球環境がと
言っていても、そこは理想主義者では生活が出来ない現実主義者の実情が
表に出るわけで、そんなに美味しくもないティラピアに1パック398円
出す人はあまりいないようで、売れ行きは良くないみたいですね。
昨年の土用丑の時には話題になった近大ナマズの蒲焼に便乗してタイ産の
パンガシウス(タイ産ナマズ)の蒲焼を売って、今度はイズミ鯛の刺身を
売り出したということで、養殖魚へのシフトはまだまだ続きそうです。
ティラピアはフィリピンでは一番ぐらいに人気のある魚で、普通のご家庭
にお招きいただいた時にも塩焼きになったティラピアがありました。
そんなわけで、刺身にするよりも塩焼きとか加熱調理した方がお客さんに
買ってもらえそうな気がしますが、売り出した意地もあるでしょうからね
当分はイズミ鯛の刺身として売り場に残りそうな気がします。
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