主催者が変わり変革するF1 [モータースポーツ]
支配していたバーニー・エクレストンからアメリカのリバティ・メディア
に興行権が移った後、F1はモータースポーツの側面だけでなくイベント
としての価値を高めることを目的にさまざまな改革が進められています。
フェラーリやメルセデスなどのヨーロッパのメーカーが、大きな発言権を
持っていることからインディカーのように大きなレースの際には大規模な
コンサートが開催されるというような流れには時期尚早な感じがしますが
いづれはレースと音楽イベントを絡めるなどのマルチイベントとして集客
を図りたいというのがリバティ・メディアの構想のようですね。
レースに暗い影を投げかける死亡事故を防止するためにコックピットから
露出しているドライバーの頭部を保護するために、今年からはHaloと
いう防護パーツを設置することが義務化され、昨年までの車体と比べると
不細工な印象になるのは否めないと思います。
ヨーロッパのメーカーの社交場だったF1の参加チームの中で異質な存在
として排除の動きがあったホンダに対しては、リバティ・メディアとして
残留させることが至上命題とされ、マクラーレンとの協同作業が決裂して
来年からはホンダのエンジンを使用するチームが無くなるかもしれないと
いう危機に際して、トロロッソとの契約を進められるように、ルノーとの
仲介をしてカルロス・サインツJrをルノーに移籍させる代わりにホンダ
エンジンをトロロッソに供給し、F1に残れるように動いたりしましたが
バーニー・エクレストンだったら、そんなことはしなかったでしょう。
その他、三年後にはエンジンの規定変更が予定され、より単純なシステム
でより多くのメーカーから参戦を促し、エンジン価格を低下させると共に
排気音を大きくして観客の興奮を高めようと画策していて、今後の方向性
の是非はともかくとして、観客を楽しませよう、参戦チームの経費削減を
進めようというポリシーがはっきりとしているのは良いと思います。
そして今度はグリッドガール(日本ではレースクィーンと呼ばれています
が、海外のサーキットではグリッドガールです)の廃止を決定し、正式に
発表が行われました。
女性は飾りや添え物ではないというフェミニスト団体の主張もありますが
基本的にはリバティ・メディアとしての決定で、セクハラとか性的関係の
強要が問題になっているアメリカでの#MeToo運動(女性が自主的に
性的嫌がらせを告白し、世間に対して告発をする女性の権利を守るための
運動)の盛り上がりも関係しているとは思います。
実際のところはグリッドガールは性的搾取の対象ではなく、本人が望んで
ギャランティをもらって就いている仕事ですからね、職業選択の自由とか
そんな話になると働きたい女性から仕事を奪うことになるので、問題では
ないかという部分もありますが、日本のAV出演強要問題のように本人の
自由意志が確保されているかはわかりませんからね、とりあえずは方針に
逆らうことなく、グリッドガールは廃止になることが決まりました。
F1からグリッドガールがいなくなるのに合わせて、ボクシングの世界で
ラウンドガールがいなくなりなんてことになると、モデル系の仕事が減る
ばかりでは女性側も雇用が減り、グラビアアイドルとかモデルにステップ
アップするチャンスも減るわけなんで、世の中の女性全員が歓迎している
というわけでもないんですよね。
ただ、F1ドライバーも昔のジェームズ・ハントのように女性との情交が
楽しみの一つというようなプレイボーイ系の人がいなくなったというか、
女性を性的欲求の解消だけの目的で誘うような人に対して世間の見る目が
厳しくなったということもあって、サーキットの華だと思われてきた時代
とは明らかに違っているのが現在ですから、需要と供給のバランス以前に
倫理という枠組みの中で規定から外れているのが、グリッドガールという
存在になってしまったということなのでしょう。
日本のサーキットで、車よりも女性の下半身やスカートの中ばかりを撮影
していたカメラ小僧なんて犯罪集団が実際に存在していた時代と比べれば
健全化に向けて動き出したということだと思いますし、モータースポーツ
のイメージ向上を考えればグリッドガールの廃止は仕方ないと思います。
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