出版界の今年の話題作「火花」 [コミック・アニメ・本]
もっとも知られた芥川賞を受賞しました。
作品の「火花」は読んでいないので、と言うか基本的にドキュメンタリー
エッセイが好きなので、純文学は読みませんから内容は分かりませんが、
忙しいスケジュールの合間に小説を完成させるというのは、生半可な才能
ではないと思うので、素直に凄いなと思いました。
私が全編を通して読んだことがあるのは現在は作家以外でも活躍している
村上龍氏の「限りなく透明に近いブルー」のみなんですよね。
知る人は知っていると思いますが、村上龍氏の芥川賞受賞作でデビュー作
である「限りなく透明に近いブルー」の原題は「クリトリスにバターを」
だったということで、題名を変えなかったら芥川賞の選考自体に残ったか
という感じなんですが、純文学の世界では逆に問題ないかも知れません。
村上龍氏のあの小説は文学少年ではなかった私でも読んだぐらいですから
芥川賞を受賞した当時はかなりの人が読んだのではないかと思いますが、
内容的には高校の図書館にも置いてあったのが不思議なぐらいの官能的な
小説(体験が投影されているのでリアル)でした。
日本最高とされている権威ある文学賞を受賞したとはいえ、内容といえば
退廃的なセックスとドラッグに浸かった集団生活を描いたもので、最後に
世俗的な社会へと飛び立つというポジティブな方向性を示しているものの
最後まで読まずに、美味しいトコ取りをしたとしたら、とんでもなく堕落
した人間を作り出す教科書のような本だと思いました。
後に「エーゲ海に捧ぐ」で芥川賞を受賞した池田満寿夫氏と同時期に著者
自らが映画化をして、両作品とも映画館まで観に行きました。
限りなく透明に近いブルーの方は、なんだかドキュメンタリーフィルムの
ような質感で、二次元の小説を三次元に仕立てて等身大にしているような
潔さみたいな感覚で、新人だった三田村邦彦が新鮮な演技を見せていると
思って素直に受け入れられる映画でした。
それに対して、エーゲ海に捧ぐの方は池田氏の反骨心によって陰毛や性器
がボカシではなく、ピンクの円で隠されていて滑稽と言うか、何と言うか
作者の一種のエゴみたいなものを感じて好きになれませんでした。
※当時は陰毛の露出はご法度でしたから修正ばかりの映画でした。
中学や高校の時に読んだ小説というのは、意外なほど記憶の中に残るもの
だということに、最近になって気付くことがあります。
恋愛感、そして多くの出来事に対する対処法の中に、まだ鋭い感性だった
あの頃の記憶が反映されていることでしょう。
火花 又吉 直樹 by G-Tools |
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