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殺人者が本を出版することの意味 [コミック・アニメ・本]


神戸市須磨区で酒鬼薔薇聖斗を名乗って、ただそこにいただけの女の子を
ハンマーで殴り殺し、顔見知りの男の子を殺して首を切断して学校の校門
においた殺人犯人の男が「元少年A」の名で事件に至る経緯や現在までの
自分自身の内面を書いた手記が太田出版から発売されます。

被害者の土師淳くんの父親である土師守さんの元には、加害者側から手記
の出版については何の事前相談もなく、出版社側は加害者の手紙を添えて
被害者の家族に本を送ると説明していますが、順番として甚だおかしいと
思わないのでしょうか?


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太田出版の岡聡社長は、手記の出版について「少年犯罪が今も社会を動揺
させている中、加害者がどういう心境なのかを伝えるべきだと思った」と
きれいごとを言っていますが、心境を伝えるのはまず被害者の家族であり
被害者の家族の了承を取ることなく本を出版するなんて言語道断の暴挙で
あると感じますが、太田出版という会社はそういう倫理観とか気遣いなど
皆無のブラック企業なのでしょうか。

そもそも出版した加害者は「過去と対峙し、書くことが唯一の自己救済」
と出版理由を述べているようですが、亡くなった二人は自ら望んで死んだ
わけではなく、この加害者の勝手で殺害されたわけで、人を殺した人間が
救済される必要なんてありません。

人の命を奪っておきながら自己救済なんて虫のいいことを言うな!という
話だと思いますし、出版を持ちかけたのが加害者自身ということは自分の
経験が「金になる」と考えて、出版を思い立ったわけですよね。

被害者の遺族に損害賠償として印税を払うわけでもなく、全国で不条理な
殺人事件に巻き込まれた人を救済する基金を作るわけでもありません。

人を殺した体験を手記に書いて、それで金儲けをしようと考えた加害者も
それを出版して一稼ぎしようと考えた岡聡という社長も同じ穴のムジナで
最低の下衆と言われても仕方ないでしょう。

1人で身元を隠して日雇いアルバイトなどで暮らしたとか、自分も苦労を
してきたと主張しているようですが、普通なら死刑になる犯罪を犯しても
少年であったというだけで出所してきたという現実を考えたら、本を売る
なんて発想にはならないはずで、結局はどうして自分だけが身元を隠して
生活しなければいけないんだという甘えがあるとしか思えません。

少なくとも手記を出版するのであれば原稿の時点で、遺された家族の方々
の心の傷をさらに広げるような表現がないかをチェックしてもらうことが
絶対に必要ですし、それ以前に手記を出すことを許してもらえるかを聞く
ということが出発点でしょう。

もう一度書きますが、僕に残された唯一の救済なんて必要ないんです。
救いがなければどうするべきが自分で考えれば良いでしょう。

人を二人も殺しておいて、救済が必要だと生きていることに後ろめたさは
感じないのでしょうか?結論までは書きませんけどね。

もう一つ、もしも遺族の方々に出版を赦されたとしても著者名は自分自身
の実名を出すべきでしょう。

元少年Aなんて名乗っている時点で卑怯者としか思えません。
顔写真と実名を出して世間から糾弾を受けて、街を歩いて人々に避けられ
殺人犯人と罵られて、バケツの水をかけられても著者として責任を取ると
言うのなら、遺族の方々の了承のもとに手記を出せば良いと思います。

監査役の周防正行さんはどう思っているのだろう。

淳 (新潮文庫)淳 (新潮文庫)
土師 守

「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記 (文春文庫) 「少年A」14歳の肖像 (新潮文庫) 少年A 矯正2500日全記録 (文春文庫) 酒鬼薔薇聖斗の告白―悪魔に憑かれたとき

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コメント 6

mayu

一口に殺人といっても状況はいろいろあると思いますが、この事件は常軌を逸しています。
by mayu (2015-06-12 08:30) 

mimimomo

おはようございます^^
同感です。これ以外に何も言うことなし、全くその通りですよ。
by mimimomo (2015-06-12 09:22) 

lamer

自己防衛で誤って人の命を奪ってしまった場合以外に人の命を奪う事は在ってはならない事です。
尊い命を奪われた側の気持ちを思えば、奪った側の心境など言語道断です。
by lamer (2015-06-12 17:57) 

suzuran

mayuさん:
コメントありがとうございます。

常軌を逸しているからこそ、事件を起こした背景を世間にしらしめたいと
出版社の社長は言っていますが、どんな理由を述べようが人を殺害して
その人の明日以降を奪うことを正当化は出来ません。

こんな出版が認められてしまうと、人を殺しても理由を書いて誰かが
納得すればそれでいいんだ、という常軌を逸した考え方を持つ人間が
現れないとも限らないと思ってしまいます。

by suzuran (2015-06-13 08:23) 

suzuran

mimimomoさん:
コメントありがとうございます。

巷にあふれる反対の声が届かないというか、それを無視する出版社と
著者である東真一郎に嫌悪を感じます。
by suzuran (2015-06-13 08:25) 

suzuran

lamerさん:
コメントありがとうございます。

はい、その通りだと思っています。

殺害した側の論理など聞きたくもありません。
by suzuran (2015-06-13 08:26) 

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